マルノウチピクス Meet

日曜日の丸の内。
陽射しは秋のそれにしては少し強い。
行幸通りから丸の内仲通りを神田方面に歩く。
平日ならサラリーマンやOLで賑わうこの通りも今日のような休みの日は家族連れやカップルが多く様子が違う。

なんか別の街みたいね

こうやって都心を二人して歩くのは何時以来だろうか?
忙しさにかまけてちっともなボク。
そうであっても特に拗ねたりもしないキミ。

あ、このビルおもしろーい

大手町ビルは森を意識させる造りでエントランスを通るだけで心地よく楽しい。
キミは木陰を少し駆け足で通り抜け、こちらを振り返る。
(へぇ、こんな仕草もするんだ)
何だか新鮮な気持ちがした。

仲通りから今度は有楽町方面に歩いていると、国際フォーラムの幾何学的な造りの横で何やらイベントが。

ん?フリーマーケット?

フリマにしては、大規模だし出品されているものが高そうだ。
聞くと骨董市らしい。特に目が利くわけでもないが、ぶらぶらと見るだけでも楽しい。
出品者は誰も皆な含蓄がありそうにプロに見える。ボクなんかすぐに買わされてしまうだろうな。

気になるの?

『いや、そんなことはないよ。』
どうせ猫に小判さ。

そのまま骨董市を後にし、大手門から和倉噴水公園まで足を延ばす。
キミの後ろ姿を見ながら気がついたんだ。
ボクはしばらく麻痺しちゃってたよ、キミがこんなに素敵なことに。
そして、こんなボクに文句も言わずついてきてくれていることに。

でもね、向こうからがやってくる若い男性を見た時、キミの瞳が一瞬キラリと輝いたのをボクは見てしまった。
男性はキミを見つけると笑顔で「やあ」と片手を上げる。
そして・・・ キミは前を見たまま、こう言ったんだ。

わたし、 あの人と行くわ・・

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